僕がカメラを手にしたのは、旅の中で出会った景色を「そのまま心に残したい」と思ったからでした。
旅先では、光や影、人の気配、街のざわめきや山の静けさに出会います。けれどその瞬間はあっという間に過ぎ去ってしまう。記憶だけに残すには儚すぎる。だから僕はシャッターを切ります。

僕にとって写真は「記録」ではなく、「物語」を閉じ込める行為です。
例えば、夕陽に染まる交差点で人々の影が伸びていく瞬間。石畳を淡く照らす木漏れ日の道。山の稜線に雲が絡み、街が静かに暮れゆく時間。その一枚一枚に、旅の物語を込めています。
そして写真は、まだ見たことのない街へと僕を導いてくれます。
地図を広げ、いつか訪れたい景色を想像しながら撮る一枚。そこには「憧れ」が映り込みます。
一方で、再び訪れた街では「記憶」が写真を深くします。初めて見たときの驚きと、二度目に訪れたときの懐かしさ。時間が積み重なることで、同じ場所でもまったく違う表情を見せてくれる。そんな街を写すことは、自分自身の旅の歴史を重ねるようでもあります。
なぜ撮るのか、と問われれば答えはひとつ。
「またいつか、あの瞬間に立ち戻れるように」。
そして、まだその景色を見たことのない人にまで届いてほしいからです。
僕が切り取りたいのは、特別な観光地の絶景だけではありません。
むしろ、何気ない日常や、誰も振り返らない小道にこそ旅の豊かさがあると思っています。そこに差し込む光や、立ち止まったときの空気感を伝えたい。
これからnoteでは、旅先で出会った景色と、その裏にある小さな物語を写真とともに綴っていきます。
まだ見ぬ街へと、思い出に残る街への再訪へと、一緒に旅するような感覚を楽しんでいただけたら嬉しいです。




